200×.3.20 / Mon.

   

 ▲▲▲の朝はあいかわらず早い。

   

 【5:30】
 起床と洗面。運動着に着替えてしばらく散歩。

 【5:45】
 トーストとコーヒーだけの簡素な朝食。ラジオのニュースを聴きながら、新聞を五束ほど流し読み。

 【6:15】
 丹念に鉛筆を削ったあと、難しい顔でノートに向かう。

 ―― と、ここまで書いて、それは私のことだと気づいた。いま私の眉間には盛大に皺が寄っている。たぶん。
 なぜかというと、昨日このことでコンビを組んでいる先輩に小言をいただいたからだ。正確には、バカにされた、というべきだけれど。

 五十も手前のおっさんいわく、
『日記にそんな色気のねえことを書くんじゃねえよ。そんなんだからいまだにコレのひとりもできねえんだ』
 とのこと。“コレ”というところで小指を立てるのがいかにもおじさんくさい。

 大事なところは伏せ字にしているので問題ない、と反論したものの、『ここでそういう返事をしちまうのがモテない理由なんだろなあ』となんだか哀れなものを見るような目をされてしまった。

 哀れなのはアナタの荒涼とした頭頂部だと言いかえしたいところだったが、彼の名誉のためにも(自分の保身のためにも)、そのひと言はぐっと飲みこんでおいた。
 だいたい、日記に色気を求めてどうする。全体的に余計なお世話である。

 でも言われっぱなしも癪なので、ささやかな抵抗として、私にしてはずいぶんとかわいいストラップを買った。なんとピンクのお花型である。

 千里の道も一歩から。
 普段は青で揃えるのが好きな私にしては、なかなか乙女度の高い選択ができたのではなかろうか?と気分は上々だった。

 ところが今日、これでどうだ、と見せびらかしたら、今度は同部署の全員から大笑いされた。

『どこからどう見てもじゃねえか』
『よく見つけてきたな、そんなもん』
『この熱血仕事女』
『お前の彼氏は仕事と車だもんな』

 云々。
 ……たしかに、たしかにだよ?似ているから気に入ったっていうのは否定できないんだけれど、さすがにこの反応はちょっとひどくないだろうか。いくらハートの頑丈さに定評がある私だって傷つくときは傷つくのだ。

 プライバシーもデリカシーもいらないから、イケメンカレシーがほしい。そんなのんきなことを言っていた時期が私にもありました。

 訂正。
 プライバシーもデリカシーもイケメンカレシーもぜんぶほしい。 
 でも、ひとつも手にはいらないんだなあ、これが。

 さて、そんなことそモソモソつぶやいているうちに今日も時間がやってきました。

 がんばる仕事ウーマン・トウコは、がんばるおじさんたちと一緒に、今日もビシッとおつとめに励むのです。

   

 

End





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