真っ暗でなにも見えない。うずくまっていると、どこからか子どもの声が聞こえてきた。

 とおりゃんせ とおりゃんせ
 ここはどこの 細道じゃ

 唄をうたっている。懐かしい響き。近くなったり遠くなったり、私のそばを回りつづける。

 行きはよいよい
 帰りはこわい

 なんとなくこれ以上聞いてはいけないと思った。手のひらで耳を覆うと、すうっと闇が深くなった。幼い唄声がしだいに遠ざかっていく。

 こわいながらも
 とおりゃんせ とおりゃんせ


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