男は言った。

 私に持っていてほしいと。

 理由をたずねると、似ているから、と一言答えた。

 ―― 誰に?

 ―― 昔の友に。

 哀れな声だと思った。

 幼い私は決して視線を合わせなかった。

 触れ合ってはいけない相手だと分かっていたから。

 しばらく私の顔を見つめたあと、現れた時と同じように、白い男は霞となって姿を消した。


error: